研究プロジェクト
●外国人労働者の定着促進のための協働型受け入れ環境の構築(基盤研究B)
●外国人材と組織の変革を支援する対話型ビジネスコミュニケーション研修モデルの構築(基盤研究C)
●外国人社員の異業種協働型ビジネスコミュニケーション研修プログラムの開発研究(基盤研究C)
●SJ(就労者に対する日本語教育)指導者Can-do Statementsの開発
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●外国人労働者の定着促進のための協働型受け入れ環境の構築
基盤研究(B)
研究期間:2021年4月1日~2025年3月31日
研究代表:近藤彩
研究分担者:池田玲子、舘岡洋子、金孝卿、神村初美
https://kaken.nii.ac.jp/ja/report/KAKENHI-PROJECT-17H02354/17H023542018jisseki/
2018年度研究実績概要
2018年12月に改正入管法(出入国管理法改正)が成立し、外国人労働者の受け入れは国家戦略として急速に進められている。本研究は、外国人労働者の中でも高度人材(日本語人材)と受け入れ側(日本企業、日本語母語話者)を主な対象とし、「実態調査」「教材作成」「教育・研修」を結びつけた学際的な研究を目指している。
2年目である平成30年度の研究業績の概要は次のとおりである。(1)日本国内のサービス業、特に人材派遣業で働く日本人社員と外国人社員に対する研修プログラムを継続して実施した。本年は「新人研修プログラム」として1年間、協働を土台とした企業の受け入れ環境を改善することを目的とした研修であった。また、異業種に勤務する外国人日本語人材を対象としたケース学習型研修を実施した。(2)海外は、フランス、中国等を訪問し、日本語人材や日本人駐在員に対しインタビュー調査を行った。収集したデータは内容分析等を行い、ケース教材を作成している。(3)フランスの経営大学院で、MBAの教員及び大学院生に対し、これまでの研究成果と、ケース学習の理論や企業研修プログラムの立案について講演を行った。日本語教師に対してはケース教材作成法を中心とした研修を行い、教師に求められる能力についても検討を進めた。送り出し国であるインドネシアではシンポジウムを企画し、研究成果を発信するとともに現地の教員に対し研修を行った。
上記の成果は、職場の環境整備、協働学習、プログラム開発の観点から論文、図書、学会発表、招聘講演を通じて国内外で公表した。
2017年度研究実績概要
少子高齢化や企業の海外展開により日本国内の労働力不足が深刻化する中、外国人の雇用と定着に向けた企業の受け入れ環境の整備が喫緊の国家課題となっている。本研究では、「実態調査」「教材作成」「教育・研修」を結び付けた学際的な研究を目指している。目的は次のとおりである。
(1) 外国人高度人材に対する日本企業の受け入れ環境を調査し、ケースメソッドにより、日本人と外国人の間の摩擦を素材とした教材を作成する。
(2) その教材を用いた教育・研修を行い、参加者の意識の変化を分析する。
(3)送り出し国で行われている日本語教育、ならびに外国人雇用の実績のある国々における企業の受け入れ環境整備の実態について調査する。
初年度である平成29年度の研究業績の概要は次のとおりである。
(1)日本国内のサービス業、特に人材派遣業界で働く日本人社員と外国人社員、医療関係に従事する日本人社員と外国人社員を対象に半構造的インタビューにより調査をした。現在、内容分析を行いケース教材の作成をしている。(2)ケース学習による研修プログラムを開発した。その一つは「若手リーダー育成プログラム」として、1年を通して企業で実施した。これは日本人社員と外国人社員の協働を目指すと共に、企業の受け入れ環境を改善をすることを目的とした研修である。(3)送り出し国であるベトナムとマレーシア双方で、日本語教育機関と日系企業を訪問し、教育現場や企業の現状と課題について情報収集をした。インドについては日本語教育機関への訪問と「グローバルパートナーシップサミット」で基調講演およびパネルセッションを行い、日本語教育のあり方と企業の環境整備の必要性について提言した。介護分野はモンゴルで調査や研修を行った。
上記の成果は、職場の課題や改善案、協働学習の観点から学会等で発表をした。図書や論文でも研究結果を公表した。
●外国人材と組織の変革を支援する対話型ビジネスコミュニケーション研修モデルの構築
基盤研究(c)
2020年4月ー2024年3月
研究代表者:金孝卿
共同研究者:池田玲子 近藤彩 舘岡洋子
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-20K00736/
●外国人社員の異業種協働型ビジネスコミュニケーション研修プログラムの開発研究
基盤研究(c)
研究期間:2017年4月ー2021年3月
研究代表者:金孝卿
共同研究者:池田玲子 近藤彩 舘岡洋子
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-17K02851/
2018年度研究実績概要
まず、プロジェクト2年目に当たる平成30年度は、前年度に収集したデータの分析を進め、研究課題(2)から(4)の遂行として、外国人社員のための研修を実施し、参加者の行動や意識の変容、研修に関するニーズを把握した。具体的に、関西経済連合会の協力のもとで元留学生社会人交流会において、2年間を通して行ったケース学習の実践を取り上げ、背景の異なる参加者の声を横断的に捉え、企業と大学の協働による学びの場の構築を検討し実践報告としてその成果をまとめた。また、同研修に継続的に参加した外国人社員と人事担当者へのインタビューを行い、参加者の発達的な変化を明らかにするとともに、所属社員への評価観点を収集した。この分析結果をまとめて学会発表を行う予定である。
次に、企業側への発信として、『2018関経連労働情報月報』の連載にて、これまでのケース学習の実践の成果と意義をまとめ企業関係者への発信を行い、本研究開発の社会的な意義への理解を図った。さらに、企業のみならず、看護など外国人人材のための労働環境の改善を要するフィールドに対象を広げて研究を行い、インドネシア(バンドン、インドネシア教育大学)で開催したセミナーで研究発表およびワークショップなどを行った。このセミナーは「看護と介護の日本語教育研究会」との協働により実現したものである。
最後に、研究成果の波及として、国内大学でのオンラインによるケース学習の実践を行い、協働実践研究会においては教師向けの「ピアラーニング入門講座」を実施した。さらに、海外の大学(フランス、国立レンヌ第一大学)での講演及びケース学習体験ワークショップなどを実施し、教育現場での実践への応用を図った。
2017年度研究実績概要
プロジェクト1年目に当たる平成29年度は、研究課題(1)企業の外国人社員に対する人材育成の現状と課題を把握し、研修モデルの策定に結びつけることを目指した。具体的に、関西経済連合会の協力のもとで元留学生社会人交流会において、1年間を通してビジネスコミュニケーションのためのケース学習の実践を行った。さらに継続的に参加した外国人社員に対するフォローアップインタビューを行い、内的変化とその環境要因の把握を行った。また、一部の調査対象者が所属する企業の人事担当者へのインタビューも行い、人材育成や研修に関するニーズを把握するとともに、所属社員への評価観点を収集した。
その他、地域の企業関係者に対しては、招待講演等を通じて、外国人雇用と高度人材のあり方についての理解の促進を行った。また、海外のビジネス関係者が集う政府主催の国際シンポジウムなどでグローバル人材の育成、相互理解とビジネスコミュニケーションのあり方について研究成果の発信及び情報共有を行った。
●SJ(就労者に対する日本語教育)指導者Can-do Statementsの開発
BPC研究所
2020年4月ー
研究代表者:近藤彩
共同研究者:金孝卿 小笠恵美子 倉本文子 品田潤子 住吉尚子 多田苗美
https://www.bpcts.org/sj%E6%8C%87%E5%B0%8E%E8%80%85cds/
2020年度研究実績概要
BPC研究所では、就労者向け指導者にはどのような能力が必要かということを探るために、定期的な研究会をオンラインで開催し、検討を重ねている。
まず、必要な能力として7分野33項目を抽出し、2020年5月の日本語教育学会春季大会で発表した。(品田潤子・近藤彩他(2020)「就労者に対する日本語教育における人材育成の課題ー指導者Can-do Statements.no記述と活用を通してー」 2020年度日本語教育学会春季大会【予稿集】)
2020年7月より33項目についてどのぐらいの能力が備わっているかを評価できる「チェック教材」と「自己評価票」を共同開発し、オンラインで公開している。https://www.bpcts.org/sj%E6%8C%87%E5%B0%8E%E8%80%85cds/
2021年コロナ禍においては、それをもとに、就労者に対する日本語教育に携わっている日本語教師にインタビュー調査を実施し、SJ指導者養成プログラムの検討を進めている。